会社売却を成功させる最大のポイントとは?

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会社売却を成功させる最大のポイントはどんな買い手を見つけるかに尽きる

M&A岡本

当たり前に聞こえるかもしれませんが、「どんな買い手会社を探してくるか?」ということはM&Aにおける最大のポイントと言えます。

長手さん

ここが依頼するM&A会社の力量が試されるポイントでもあるよね。

買い手会社を探すときのポイント

世の中には「いい会社があれば買いたい」と思っているお金のある会社は非常にたくさんあります。それらの買い手会社には、それぞれの業態もあれば得意分野も、また同時に課題もあります。そうした背景によって、求められる企業像も異なってきます。

どんなに優良で利益が出ている会社であっても、その会社を買うことで新たなビジネスが生まれる、弱かった事業分野が補完されるなど、何かしら「買い手会社が求めているニーズ」を満たさないかぎり、買い手会社にとっては魅力的な会社とはいえません。

逆に、たとえ売り手会社が赤字であったとしても、会社を買収することで、買い手会社にビジネス上のメリットがあれば、十分魅力的だともいえます。

どんな会社と売買交渉をするかでM&Aの成否は大きく左右されますし、買収金額も違ってきます。会社がもっとも魅力的に見える、そんな買い手会社を探してくることがM&A会社の力量が試されるポイントにもなります。

まずは買い手会社の興味を探る

*仲介会社とアドバイザリー会社では内容が異なる場合があります。今回ご紹介している内容は、アドバイザリー会社の場合になります。

仲介会社とアドバイザリー会社の違いは以下の記事にまとめました。

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ノンネームタームシートは、原則的にM&A会社が行います。だいたい20社から30社に配布して、買い手会社の興味や反応を探ります。

ノンネームタームシートを作成したら、興味をもちそうな会社会社に配布をします。配布したノンネームタームシートを見て買い手会社が興味を持った場合、守秘義務契約を結んで、IM(企業概要書)を開示します。

場合によっては、IM(企業概要書)開示後、すぐにトップインタビューを入れるケースもありますが、多くの場合は、質疑応答は書面で対応します。

質疑応答を書面でやり取りを進めるなかで、さらに興味を持った買い手会社には、意向表明書(LOI)を提出してもらいます。意向表明書には、売買目的や買収後の経営体制・戦略などが記されますが、意向表明書(LOI)には法的拘束力はありません。

トップ面談を実施する

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IM(企業概要書)に基づく質疑応答を行う過程で、買い手会社の内部では、意向表明書(LOI)を提出するか、または、辞退するか社内で検討をしますが、LOI提出の最終検討に入っている場合、売り手と買い手のトップ面談を実施します。

意向表明書(LOI)には、いくら法的拘束力がないからといって、売り手会社と面談することなく、書面を提出することはガバナンス上容易ではありません。

売り手会社側も、意向表明書(LOI)の受領後は、買い手会社候補を選定する作業があります。また、買い手会社と面談し、企業風土や経営戦略、M&Aの狙いについて、経営層の言葉として聞いておきたいところです。

このトップ面談は一言でまとめると、買い手と売り手の相性診断です。トップ面談では、売り手会社からは、株主や経営トップが参加することが一般的です。

M&A会社はどうやって買い手会社(相手)を見つけるか?

M&A岡本

それぞれのM&A会社では、これまでの経験や公開情報などから、買い手会社に関する独自のデータベースを持っています。

売り手会社の事業に興味を示す可能性の高い会社を、データベースから探すほか、インターネットやその他の公開情報を改めて見渡し、ほかの候補がないかなどを探して、買い手会社の候補先一覧のリストを作成します。

このリストをもとに売り手会社と検討、取捨選択し、優先順位をつけてコンタクトをしますが、このとき、自社の価値や将来において、売却に際して大切にしたい事項は何かを考えることが重要になります。

企業概要書(インフォメーション・メモランダム)とは

企業概要書とは、承継させようとする事業(会社)の詳細な経営情報を記載したもので、買い手企業にとって対象事業(会社)を評価する基礎資料となります。できる限り正確に記載するとともに、その魅力をあますところなく表現します。

ア.企業概要書の目的

企業概要書は、買い手会社先との交渉条件における根拠資料であるとともに、複数の買い手会社に対してM&Aプロセスを公平かつ効率的に進めるための共通資料です。

買い手候補先が興味を持つように、対象事業(会社)の経営成績などの情報だけではなく、さまざまな魅力や成長の可能性について記載します。

イ.企業概要書の開示

企業概要書は、対象事業(会社)が一般には公開していない機密情報を含むため、売り手企業と買い手企業先間での守秘義務契約締結後に開示します。通常、複数の買い手候補に対して、同時期に開示することになります。

ウ.企業概要書の作成

企業概要書の開示を受けた買い手候補は、対象事業(会社)への理解を深めるため、企業概要書に基づいた質問を行い、対象事業(会社)に対する一時的な評価をします。多くの場合は、企業概要書の作成もアドバイザリー会社が作成します。

不誠実な情報開示を行うと、M&Aプロセスに影響するため、企業概要書には売り手会社の魅力を記すだけではなく、重大なリスクや財務修正事項についても誠実に記載します。

エ.企業概要書の内容

企業概要書は、以下のような項目を写真や図を用いるなど、受け取る側が理解しやすいように作成します。

1)エグゼクティブサマリー 承継先候補へのラブレター的な部分です。売り手企業の魅力について、わかりやすく印象に残るようポイントを記載します
2)会社概要 社名、本社所在地、事業所、代表者名、資本金、設立年月日、従業員数、沿革、グループ企業一覧など
3)株式情報 株式種類、株主構成、潜在株式情報、資本製作推移など
4)役員情報 役付、管掌、略歴など
5)組織 組織図、各部署の役割・人員構成、ガバナンスと報告体系、従業員の年齢・勤続年数分布、会議体運営状況など
6)会社規則 規則・規定一覧、運営状況など(退職金制度における簿外債務の有無・支払い現金の確保について、就業規則の内容・未払い残業代の簿外債務の有無・労使問題の法的リスクの可能性について記載します
7)事業に必要な許認可 保有している許認可、資格、関連規制など
8)事業概要 市場環境、競合状況、事業系統図、事業戦略、マーケティング、生産体制、研究開発、主要仕入れ先、主要販売先など
9)経営成績 過去の財務情報・修正情報・現行期の状況
10)主要資産 事業用の主な有形資産(土地、建物、設備)および無形資産(知的財産権、技術、ノウハウ)について
11)銀行取引情報 借入条件、担保・保証の状況など
12)事業計画 現行期計画、中期計画について
13)主要なリスク 偶発債務、訴訟やクレーム、労使紛争等、対象事業(会社)の事業継続やM&A取引において障害となり得る主要なリスクについて記載します
14)今後のプロセス 企業概要書を開示した後の希望スケジュールを記載します

よくあるトラブル事例:言ったことと実態が異なる

会社売却のときによく起こるトラブル

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質疑応答では、どんなに悪い情報だったとしても正確な回答をしてください。適当な回答や曖昧な回答で、後々にトラブルに発展する場合があります。

M&A成立時の譲渡契約書には「これまで売り手会社が開示した情報は正確であることを保証する」という条項(表明保証)という条項が入ることがあります。

そのため、買い手側では、録音をしたり、メモをたったり、議事録を社内で作成したりします。言ったことと実態が異なると、確実に問題になります。

ただし、買い手企業の質問にすべて回答する義務はありません。値引きなど、取引先の個別情報、研究開発情夫尾、人事情報、評価情報など、内容によっては基本合意後に行うデューデリジェンスのときに回答しますということでも構いません。

依頼するM&A会社を見直すタイミング

候補先へのアプローチを開始した時点、ノンネームタームシートの配布を開始してから早くて3ヶ月くらい、長くても半年でLOIが出ないようであれば、M&Aが成立しない可能性が高いと判断します。それが買い手側の問題なのか、売り手側の問題なのか、アドバイザリー会社の能力が低かったのか、いずれにしてもこのままでは前に進まないので、こういった場合は、アドバイザリー会社の交代を検討しなければなりません。

売り手会社がM&Aへの重大な障壁を持たず、しっかりと磨き上げを行ったうえで買い手会社へのアプローチを開始した場合、IMを開示してから半年あれば、少なくとも1社からはLOIを受領できるでしょう。それが満たされないのは、M&A会社の候補先選定に問題があると考えられます。

M&A岡本

アドバイザリー会社との契約では、「アプローチ開始から半年の間にLOIをもらえなければ、交替してもらう」という文言を入れておいたほうがいいかもしれません。

1社に絞る

買い手候補先から提出されるLOIを比較して、交渉相手を1社に絞ります。ここで基本合意の終結をします。

基本合意をすると、中小企業の場合は実質的に独占交渉になります。ここから先は買い手会社によるデューデリジェンスが行われ、社内で関与する人も増えます。この段階から後戻りするのは容易ではないので、本当に最終合意を行う気持ちで基本合意に臨む覚悟が必要です。

基本合意の内容

取引の当事者 買い手と売り手の主体の明確化、売り手は株式の取りまとめを行うか等
取引のストラクチャー 株式譲渡、事業譲渡等
取引対価と支払方法 取引金額、現金支払いか株式等による支払か、一括か分割か、役員退職慰労金の有無、インセンティブ付与の有無等
取引時期 クロージング時期の見通し
社員の処遇等 会社運営の方針、とくに従業員の雇用条件維持を記載することが多い
独占交渉の有無、内容と期間 最終的な確定契約書の締結までの期間(独占交渉期間)を設定する
デューデリジェンス 詳細調査の内容や対応について概要を合意する

1社に絞ったら、LOIを提出した他の買い手候補には、他社と基本合意をした旨を伝えます。最終合意に至るかどうかは未確定なので、うまく進展しなかった場合には改めて声をかけさせてほしいと丁寧に伝えることが大切です。

そして、基本合意以後は、合意先以外の候補先との間でM&Aに関する接触は厳禁です。

LOI時の価格だけで判断をして失敗することも

LOIでは、どうしても価格条件に目を奪われてしまいます。しかし、価格以外の条件を可能な限り聞いておかなければ、総合的に優劣の判断をすることはできません。価格だけを聞いて判断をすると、必ず失敗します。

また、基本合意以後のデューデリジェンスも、期間を定めておかないと、時間ばかりかかってなかなか進まないことがあります。

買い手会社側の弁護士、公認会計士は、タイムチャージの人が多いからです。できるだけ時間をかけたほうが儲かるので、質問が長くなる可能性もあります。

ここまでの期間しか対応しません。これ以上の情報は出しません。そうしたラインを専門家と相談してください。時間の浪費は成功への障害になります。

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