2020年の事業承継の課題と解決策

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中小企業の経営者の高齢化が進み、後継者不在のために会社の存続の危機にさらされている中小企業は年々増加をしています。

また今後も事業承継の問題に直面する中小企業も数多く、中小企業にとって後継者問題はますます深刻化することが予想されます。

データでみる事業承継問題

中小企業庁が発表している「中小企業の事業承継に関する集中実施期間について」によると、今後5年間で30万人以上の経営者が70歳になるにもかかわらず6割が後継者未定だという報告がされています。日本の経済を支えている中小企業の後継者問題は、日本経済・社会にとって計り知れない大きなリスクを抱えています。

今は40代、50代と働き盛りの経営者にとっても、後継者問題は決して他人事ではありません。経営のリスク回避のためにも後継者問題は早いうちから取組むべきだといえます。

団塊経営者の大量引退期が2020年からはじまる

中小企業庁の「中小企業の事業承継に関する集中実施期間について(事業承継5ヵ年計画)」によると、中小企業経営者の高齢化(66歳の経営者が一番多い)、2015~2020年までに約30.6万人の中小企業経営者が70歳に達し、約6.3万人が75歳に達するというデータが発表されています。

後継者不在による廃業

60歳以上の経営者のうち50%超が廃業を予定していることからデータから読み取れます。

経営者が廃業を決意したのは以下の理由が挙げられています。

「当初から自分の代でやめようと思っていた」 38.2%
「事業に将来性がない」 27.9%
「子供に継ぐ意思がない」「子供がいない」「後継者が見つからない」
後継者難を理由とする廃業 28.6%

また廃業予定であっても3割の経営者が、同業他社よりも良い業績を上げていると回答し、今後10年間の将来性についても4割の経営者が少なくとも現状維持可能と回答がされています。

経営者が後継者不在のために事業承継を選択しない場合には、このような企業もそのまま廃業する可能性が高く、それにより企業が維持している雇用や技術、ノウハウが失われる可能性が高くあります。

過半の企業で事業承継の準備が進んでいない

40代、80代の経営者でも事業承継の準備が終わっていないと回答した企業は半数以上あり、後継者の選定、株や事業用資産の整理が終わっていない企業が多くあります。

後継者問題で最大の課題となるのが人材育成、つまり後継者を育てることです。しかし数多くの中小企業が後継者不在問題を先送りしているのが現状です。どんなに素晴らしい経営者でも引退の日はやってきます。

事業承継は1ヵ月、2ヵ月とすぐに完了するものではなく5年は必要だといわれています。

高齢化・少子化社会の現在、事業承継の後継者選びは早いにこしたことはないといえます。

出典:中小企業庁 平成29年7月 「中小企業の事業承継に関する集中実施期間について(事業承継5ヶ年計画)

事業承継の解決策について

後継者問題を解決するためには、親族内の誰かに事業承継をする親族内承継、役員や従業員に事業承継をする親族外承継、そして会社を第三者に会社を売却するM&Aがあります。それぞれにメリットやデメリットがあります。

親族内承継 親族外承継 M&A
メリット ・従業員や取引先も納得しやすい ・業務や社内を熟知している ・創業者利潤を最大限に得られやすい
デメリット ・経営経験に乏しい ・経営経験に乏しい
・株式購入により多額の資金の用意
・買手企業があらわれないと成立しない

親族内承継

親族内承継は息子などの親族に事業を承継する方法です。相続税の問題があるのでこの場合は自社株の評価を下げることが基本になります。

例えば、息子が会社の株式10億円を相続した場合の相続税は4億7,800万円も発生することになります。

10億円×55%-7200万円(税金控除額)=4億7,800万円(※基礎控除額は含まず)

相続税は現金一括納付が原則となり、会社や個人の資産を担保にして銀行から借入れをして納税する例も珍しくありません。後継者がこのような窮地に陥らないために、親族内承継の場合は計画的に「株価引き下げ」対策が重要になります。

親族内承継は生前贈与や保険、不動産等の活用を

代表的な株価引下げ対策として利益圧縮があります。

これは会社の利益を会社にためず、個人(オーナー経営者本人、妻や子ども)に移転する方法になります。移転をするときは受け取る側に贈与税や所得税が発生しますが、累進課税制度(所得や相続額が多いほど税率が上がる)のことを考えれば、税金が発生しても生前に一定額を財産分与しておくほうが有利なケースが多いです。

その他の利益圧縮方法としては、役員報酬を増額、株式を後継者に計画的に生前贈与する、会社の名義で生命保険に加入する(掛け金を経費とする)などがあります。

資産の整理や組替えでは、会社の不動産の一部を売却、賃貸用の収益物件等に組み替えるといった方法もあります。一般的に都市部の不動産に変えておくことで、相続税評価額が下がる傾向になります。またオーナー経営者が経営する事業会社を持株会社(HD)や一般社団法人に転換することで自社の株価上昇を抑えやすくすることができます。

株価引き下げ対策の基本

利益圧縮 ・役員報酬の増額
・生命保険
・経営者への生前退職金
資産整理 ・所有する土地や建物の整理や処分
・不良在庫、滞留資産の処分
組織再編 ・高収益事業を分離
・持株会社を設立

親族外承継(役員や従業員への事業承継)

子どもや孫などの直系の親族、甥や娘婿といった非直系で事業承継をする後継者がいない場合、会社の役員や従業員から後継者を求めることができます。いわゆるMBOいわゆるMBO(マネジメント・バイ・アウト)という方法があります。

親族外承継(MBO)のメリットと方法

役員や従業員による親族外承継(MBO)が行われる場合、企業風土や創業者の理念が継承されやすいというメリットがあります。

第三者に会社を売却する場合と違い、外部から新しい経営者が入ってきたり、従業員が去らざるを得ない状況を避けることもができます。とはいえ、創業オーナー経営者から株式を買い取る資金が後継者にあるかどうかといった大きな課題が出てきます。

一般的に個人資産のみで株式を買取る資金を用意するのはなかなか難しいです。このような場合は、銀行などから株式を買取る資金を借入する、役員報酬から返済をしていくなどの方法があります。

第三者に会社を売却するM&A

中小企業の事業承継の方法として増えているのが第三者に会社を売却するM&Aです。

従業員の雇用を守り、育て上げた会社や事業を今後も継続させることができるほか、親族内承継や親族外承継のように後継者に税金や資金の負担をかけずにすむばかりではなく、自社株式の売却による金銭面でのメリットもあります。

また事業の一部を売却してスケールダウンした事業を親族に承継したり、利益の出ている事業を売却した資金をもとに残る事業に力を注いだりといったこともM&Aでは可能です。

M&Aは経営戦略の一環であり、同時に個人資産の防衛のための手段にもなります。

また、事業の一部を売却してスケールダウンした事業を親族に承継したり、利益の出ている事業を売却した資金をもとに残る事業に力を注いだりなどといったこともM&Aでは可能です。いまやM&Aは経営戦略の一環であり、同時に個人資産の防衛のための手段にもなります。

M&Aで第三者に会社を売却する事業承継を選択したら、企業価値評価や法律や税金の問題、買手探し、条件交渉など、専門家の力を借りなければ解決できないことが多々あります。そのため会社を売却するときは、まずはM&A会社探しからスタートします。

M&A会社の選び方については以下の記事にまとめました。

仲介会社とアドバイザリー会社では、提供サービスや報酬形態も異なる場合があるので、それぞれの特徴を把握した上で相談することが大切です。

またアドバイザーと信頼関係を築くことも大切なので、複数の会社の担当者と話して担当者との相性や人柄も重視したいところです。

仲介会社とアドバイザー会社では、「提供サービス・報酬形態」も違うので、それぞれの特徴を把握したうえで相談することが大切です。また、「この人になら安心して任せられる」「安心して何でも話せる」など、アドバイザーと信頼関係を築くことも大切なので、複数の会社の担当者と話して、担当者との相性や人柄も重視したいところです。

今後ますます経営者の高齢化が進み、事業承継の問題はさらに深刻になることが予想されます。どの方法の事業承継でも時間がかかることを念頭において、なるべく早く準備を進めておくことが望ましいです。

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