非上場会社の株価はどうやって決まる?
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上場会社の場合は、取引相場の時価によって決定しますが、非上場会社の場合は、どのように株価を算出するのでしょうか。

非上場会社の場合は、会社の規模や特性など、さまざまな条件に応じて評価方法が異なります。ここでは非上場会社の株価の算出方法についてまとめました。
この記事の目次
STEP1)会社の規模を調べる
従業員数が100人以上の会社は大会社、100人未満の会社の場合は下記のような基準で判定をします。
卸売業 | 小売業・サービス業 | 左記以外 | 会社規模 |
---|---|---|---|
20億円以上 | 10億円以上 | 10億円以上 | 大会社 |
14億円以上 | 7億円以上 | 7億円以上 | 中会社の大 |
7億円以上 | 4億円以上 | 4億円以上 | 中会社の中 |
7,000万円以上 | 4,000万円以上 | 5,000万円以上 | 中会社の小 |
7,000万円未満 | 4,000万円未満 | 5,000万円未満 | 小会社 |
従業員数 | 会社規模 |
---|---|
50人超 | 総資産価額(帳簿価額)に準じる |
30人超50人以下 | 中会社の中 |
5人超30人以下 | 中会社の小 |
5人以下 | 小会社 |
卸売業 | 小売業・サービス業 | 左記以外 | 会社規模 |
---|---|---|---|
80億円以上 | 20億円以上 | 20億円以上 | 大会社 |
50億円以上 | 12億円以上 | 14億円以上 | 中会社の大 |
25億円以上 | 6億円以上 | 7億円以上 | 中会社の中 |
2億円以上 | 6,000万円以上 | 8,000万円以上 | 中会社の小 |
2億円未満 | 6,000万円以下 | 8,000万円以下 | 小会社 |

1)~3)をそれぞれ見ながら自社がどの規模になるのか以下の方法で調べてみましょう。
会社の規模の調べ方
手順1│ 1)総資産価額(帳簿価額)と2)従業員数を比較して、一致したものか、または小さいほうを採用する。
手順2│ 手順1と3)年間の取引金額を比較して、規模の大きい方を採用する。→これが会社の規模になります。
STEP2)会社の規模に合わせた評価方式を選択する

会社の規模が判明したら、会社の規模に応じた評価方式で株価を計算をします。
大会社 | 原則:類似業種比準価額方式 | |
中会社 | 大 | 原則:併用方式 類似業種比準価額方式×90%+純資産価額方式×10% |
中 | 原則:併用方式 類似業種比準価額方式×75%+純資産価額方式×25% |
|
小 | 原則:併用方式 類似業種比準価額方式×60%+純資産価額方式×40% |
|
小会社 | 原則:純資産価額方式 |
STEP3)評価方式にあてはめて計算をする


上記のように、会社の規模によって評価方式が異なります。では、それぞれの評価方式の計算方法についてみていきましょう。
類似業種比準価額方式
自社と似た業種のモデル会社の株価をベースにして、1株当たりの「配当金の額」「利益の額」「純資産の帳簿上の額をモデル会社と比較して株価を計算する方法です。
モデル会社の株価などは上場会社の数値を統計的に処理したものを利用することになりますが、国税庁がホームページで公開しています。
国税庁:令和元年分の類似業種比準価額
純資産価額方式
自社の純資産価額を株式の数で割って、1株当たりの純資産価額を計算する方法です。
純資産価額は、会社の資産から負債を引いた金額になります。業績が好調で資産が多いほど、株価は高くなります。
決算書の賃借対照表に表示されている資産と負債の差額である「純資産の部」の合計額と位置づけ的には近いですが、賃借対照表に表示されている資産と負債は簿価で計上されているのに対して、純資産価額を計算する際には資産と負債を時価にして算出する点が違います。
国税庁:財産評価基本通達178
例外的な評価方法を使う場合も
一定の条件下では、上記の原則的な評価方法だけではなく、例外的な評価方式で税務上の株価を算出します。財産評価基本通達には、さまざまなケースが定められていますが、代表的なものには次のようなものがあります。
株式や土地をたくさん持っている会社は、純資産価額方式を使用5>
株式の保有割合が50%以上の会社の株式や、土地の保有割合が70%以上(大会社の場合)の会社の株式は、純資産価額方式を使用します。
このような会社は、持株会社や資産管理会社である場合がほとんどなので、通常の会社と同じように扱うことができません。「株式や不動産を会社を通して間接的に保有しているだけ」といえるので、会社の資産と負債をすべて時価で評価してその差額を会社の価値として計算する純資産価額方式を使用します。
取得者が少数株主の場合は、配当還元方式を使用
同族株主以外の人が株式を取得した場合には、配当還元方式を使用します。
同族株主以外の人とは例えば、自社の役員や従業員などで株式取得後の保有割合が5%以下に留まるような少数株主をいいます。このような少数株主は株式を持っていても、会社の意思決定にはほとんど関与できず、配当金を受け取るくらいしか株主としてメリットがないので配当還元方式を使用します。
配当還元方式では、過去2年間の平均配当金額を10%で割り戻して元本の株価を逆算して計算します。一般的に原則的評価方法に比べて評価額は低くなります。

株価は複雑な計算にもとづいて算出されるので、専門家に相談するのがベストかと思います。
会社売却.COMを運営しているアドバンストアイではM&Aアドバイザーの他、公認会計士も所属しています。自社株の評価を算出するお手伝いもしているので、お気軽にご相談ください。