会社売却の流れと重要なポイントや注意点

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M&A田中

会社を第三者に売却するM&Aは一般的に以下の流れで進めていきます。ここでは、各段階での重要なポイントや注意点についてまとめました。

会社の売却が成立するまでの全体の流れ

会社の売却が成立するまでさまざまな過程を経ることになりますが、まずは会社売却が成立するまでの全体の流れを把握しておくことが大切です。会社売却成立までのプロセス全体を見通すと、最低でも半年から1年はかかります。

STEP1:M&A会社と契約をする
STEP2:会社の「磨き上げ」を行う
STEP3:売却条件を整理する
STEP4:複数の買い手会社に声をかける
STEP5:1社に絞る
STEP6:デューデリジェンスに対応する
STEP7:クロージング(M&A成立)

STEP1:M&A会社と契約をする

M&A田中

ここでのポイントは契約するM&A会社は「仲介契約」か「アドバイザリー契約」か?ということ。

M&Aは、条件の交渉や契約、法務、税務、労務など専門的な知識が求められるのでM&A会社のサポートが欠かせません。

この時に注意したいのが、M&A会社には、仲介を専門にする会社と売り手・買い手のどちらか一方につくアドバイザリー会社があるということ。それぞれの会社の仕組みと契約方法を確認する必要があります。

特徴
仲介会社 ・仲介契約
・売り手と買い手の両方の会社の相談に応じてマッチングする
・マッチングが成立したら双方から仲介手数料を受け取る
ポイント
売却価格などの条件は両社の妥協点を探るので、売り手側は不利な場合もある
アドバイザリー会社 ・アドバイザリー契約
・売り手または買い手のどちらか一方の会社のみとアドバイザリー契約をする
・手数料は契約した会社のみから受け取る
ポイント
契約した会社の利益のためだけに動くので、希望の条件で相手との交渉を進めることができる

M&A会社を選ぶときは、複数の会社と面談をして比較検討してください。(情報漏洩の観点から、面談時までに秘密保持契約を交わしておくのがベストです)

面談時には、売却の希望時期が質問されるかと思いますが、このとき「将来的に」と明言することが重要です。なぜならば、「あの会社はすぐに売りたがっている。業績が悪いのではないか」というネガティブな情報が出回り、風評被害につながる恐れがあるからです。

M&A会社との面談時に確認するポイント
業者のタイプ 仲介会社なのか?アドバイザー会社なのか?
業務範囲 紹介のみなのか?磨き上げの有無、取引ストラクチャーや価値評価への助言の有無、DD対応の有無
報酬体系 着手金の有無、成功報酬の料率が何に対して計算されているか?
【参考】レーマン方式なのに、M&A会社によって手数料が異なる理由
その他 得意な業種や分野、M&Aプロセスの進め方(相手の見つけ方やアプローチ方法、入札・相対の別など)

料金体系(着手金や成功報酬の割合)、サポートの体制、これまでの実績を確認して、複数のM&A会社を比較しつつ、信頼関係を構築できる会社(あるいは担当者)選びが重要になります。

STEP2:会社の「磨き上げ」を行う

M&A田中

会社の「磨き上げ」とは、売り手会社が自社の価値を最大化する作業になります。磨き上げは大きく分けて以下の2つの作業を行います。

1)会社の情報を整理する作業「基礎修正」
2)より高く売れる会社にするための作業「財務や実務」

自社の事業の強みを発見することで、売却の候補先の選択肢が増えたり、希望の価格や条件での売却など、磨き上げを実行することで可能性を広げることができます。

会社の情報を整理する「基礎修正」

まずは、「法務」「財務・税務」「組織・人事・労務」の3つの視点から会社に問題がないかどうかをチェックします。

項目 会社の情報を整理する作業
法務 ・株主は適法に株式を取得しているか?
・会社として成立させるための基本的事項が有効に守られているか?
(決議や登記手続き、諸規則・規定の整備、許認可の届出等)
・重大な法令遵守違反がないか?
・主要な取引先との契約が実態に即して締結されているか?
・重要な資産や技術の使用が法的に有効な状態になっているか?
財務・税務 ・不適切な会計処理や税務処理はないか?
・未払い残業代ほか簿外債務はないか?
・訴訟ほか偶発債務の恐れはないか?
・循環取引、継続的に不当な値引きや過剰仕入れはないか?
・不適切取引や不利益取引はないか?
組織・人事・労務 ・不当な労働環境で勤務させていないか?
・心身ともに不健康な社員が多くないか?
・離職率が非常に高い状態となっていないか?

より高く売れる会社にするための作業

会社の基礎修正と同時に、財務や実務の面も調査をしていきます。

項目 会社の価値を高める作業「財務や実務」
財務 取引契約の整備、月次決算の導入、各種経営管理指標のデータ化、社内規定の整備、内部統制の充実など、必要に応じて整備します。
実務 顧客・取引先・研究開発などの分野でを整理することで、会社の強みを発見することができます。

会社の「磨き上げ」を行わないまま、買い手会社の詳細調査で問題点が見つかると、M&Aが成立しない場合もあります。仮に成立したとしても、買い手会社主導の売却条件を提示されるなど多くのデメリットが発生してしまいます。

また会社の「磨き上げ」は、どのM&A会社でも実施するわけではないので、STEP1のM&A会社と契約するときに確認するようにしてください。

STEP3:売却条件を整理する

財務や実務の磨き上げで方向性が見えたら、次は売却条件の整理をします。

まずは、株式の売却なのか、事業の譲渡なのか、会社を分割して売却するのか、取引の手法を検討します。取引の手法を決めたら、会社(または事業)の価値を評価します。これは、相続税法上の評価ではなく、第三者と市場の見立てをします。

主要な売却条件の整理 ・M&A会社による価値評価を参考にして希望する売却金額を決定
・売却金額の支払い方法 etc.
経営体制の希望条件整理 ・従業員の待遇
・取引先や仕入先
・拠点や資産の統廃合
・金融機関との取引の変更 etc.
案件情報・開示情報の整理 情報の開示範囲を決める
(売り手会社の名称を伏せた形で、売り手会社の概要を簡単に示す「釣書」をM&A会社が作成します)
*ノンネームタームシート、ティーザーと呼ばれます

ノンネームタームシートに興味を持つ買い手会社が見つかったら、秘密保持契約(守秘義務契約)を締結したうえで、企業概要書(インフォメーション・メモランダム、IM)を開示します。(※これもどこまでの情報を開示するのか決めておきます。)

STEP4:複数の買い手会社に声をかける

M&A田中

売却条件を整理してノンネームタームシートを作成したら、20社から30社に配布をして、買い手会社の興味を探ります。

興味を持った相手と守秘義務契約を結び、インフォメーション・メモランダム(企業概要書)を開示して質疑を受けます。このやり取りは書面で対応します。

書面のやり取りを進めるなかで、興味を持った買い手会社には意向表明書(LOI)を提出してもらいます。意向表明書には、買収の目的や買収後の経営体制、戦略が記載されていますが、法的拘束力があるものではありません。

LOIの提出の最終検討に入っている候補先に対して、売り手会社とのトップ面談を実施します。あ

STEP5:1社に絞る

LOIを比較して交渉相手を1社に絞ります。ここで基本合意を締結します。基本合意をすると、ここから先は買い手会社によるデューデリジェンスが行われ社内で関与する人も増えます。

基本合意の主な内容
取引の当事者 買い手と売り手の主体の明確化等
取引ストラクチャー 株式譲渡、事業譲渡等
対価と支払方法 取引金額、現金支払いか株式等による支払いか、一括か分割か、役員退職慰労金の有無、インセンティブ付与の有無等
取引時期 クロージングの時期の見通し
社員の処遇など諸条件 とくに従業員の雇用条件維持について記載することが多い
独占交渉の有無等 一般的に、最終的な確定契約書の締結までの期間(DDに要する期間)を見据えて独占交渉期間を設定する。約3ヶ月前後で設定。
デューデリジェンスについて 詳細調査の内容や対応について概要を合意する

M&A田中

基本合意以後は、合意先以外の候補先との間でM&Aに関する接触は厳禁となります。

STEP6:デューデリジェンスに対応する

デューデリジェンスは、買い手会社が行う売り手会社に対する詳細調査です。デューデリジェンスの目的は、買い手会社が最終的な取引ストラクチャー、買収価格を中心とした買収の詳細条件、買収後の経営統合体勢を決定するために行います。

売り手会社の社屋や工場などの実地調査も含めて、1~3ヶ月の期間、公認会計士、税理士、弁護士などの専門家を交えて行います。

M&A田中

基本的にデューデリジェンスの調査項目は、STEP2で行った会社の「磨き上げ」の調査項目とほとんど変わりません。デューデリジェンスについては、以下の記事で詳しく紹介しているのでぜひあわせてお読みください。

基本的にデューデリジェンスの調査項目は、STEP2で行った会社の「磨き上げ」の調査項目とほとんど変わりません。デューデリジェンスについては、以下の記事で詳しく紹介しているのでぜひあわせてお読みください。

STEP7:クロージング(M&A成立)

買い手会社のデューデリジェンスが終了すると、いよいよ最終契約書締結に向けての以下の項目を中心とした交渉が行います。

・最終的な譲渡価格
・表面保証の内容
・補償責任の内容
・役員と従業員の引継ぎ
・競業避止義務
・クロージングまでの日程・善管注意義務
・譲渡代金の支払い・株式の引渡し

最終契約書でとくに重要なのが表面保証になります。
開示した内容に間違いがないことを「表明」し、相手側に「保証」するのが表面保証になります。

表面保証の主な内容
売り手側 ・取締役会の承認などM&Aの手続きが完了していること
・必要な行政手続きを完了していること
・破綻状態(支払不能、銀行取引停止)ではないこと
・譲渡対象株式以外に、買い手が認識していない新株予約等の潜在株式が存在しないこと
・株式に担保権の設定がないこと
・決算に粉飾がないこと
・各種法令違反がないこと
・公租公課の滞納がないこと
・買い手企業に提供した情報が真実かつ正確であること
・デューデリジェンス実行後に資産・負債・事業に大きな変化がないこと
買い手側 ・取締役会の承認などM&Aの手続きが完了していること
・必要な行政手続きを完了していること
・譲渡代金の資金が用意できていること

買い手会社側でいくらデューデリジェンスを行っても、売り手会社の全てを調査できているわけではありません。M&A成立後に思わぬ事実が発覚するなど、表面保証した内容が事実と相違していた場合、買い手会社側が損害賠償請求をできるようにします。

通常は最終契約締結からクロージングの間に一定の期間を設けます。この期間の間に、従業員や金融機関、取引先や仕入先への説明を行います。

さまざまな確認がすべて終わると、株式譲渡(または事業譲渡)という一連のM&A取引きが全て終了して、会社は新たなスタートを切ることになります。

M&A田中

契約するM&A会社によって流れが異なる場合もありますが、以上が一般的な会社売却が成立するまでの流れになります。

M&Aが成功するかどうかは、STEP1のM&A会社選びがとても重要になるので、たくさんのM&A会社と面談をして話を聞いてみるのがいいかと思います。

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