会社売却の手続き方法とは?相場やメリット・デメリットについても徹底解説

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会社の売却を考えたとき「さて、どうしたらいいんだろう?」と、多くの経営者は売却方法や売却価格など、具体的なイメージは思い浮かばないと思います。

経営者とはいえ、会社の売却を経験したことのない方のほうが圧倒的に多く、会社売却に関する「知識・情報・経験」がないことは当然だといえます。しかし、会社売却に関する知識や情報を知らないままM&Aプロセスに入るのは失敗するリスクが高いです。

会社を売るのは、一生に一度あるかないかのレアケースです。会社売却についてしっかりと理解して、満足できる条件での売却を成功させましょう。

会社売却とは?

会社売却とは、これまで経営してきた会社を第三者に売ることです。

「経営に行き詰まったから、会社を売っ債務を帳消しにしたい」
「会社の売却代金を退職金代わりに引退したい」
「事業を拡大するために、他の企業に出資してもらいたい」
「経営を安定させるために、大手企業の傘下に入りたい」
「後継者がいないので、第三者に会社を売却したい」

このように、会社を売却する理由はさまざまです。

会社売却とは

M&AのMはMerger、AはAcquisitionのことで「合併と買収」という意味です。複数の会社を1つに統合したり、他の会社から事業や株式を買収したりする手法の総称になります。

合併との違い

M&Aにおける合併手法は、新設合併と吸収合併の2種類あります。どちらのスキームも資産や負債を引継ぐ点は同じですが、許認可や免許の承継に以下のような違いがあります。

新設合併:存続する会社に、消滅する会社の許認可や免許は承継はできない
吸収合併:存続する会社に、消滅する会社の許認可や免許を承継できる

会社の売却価格の相場はどれくらいなのか

会社の売却を考えたとき、まず気になるのが「いくらで売れるか?」という売却価格だと思います。会社の売却価格に相場はあるのでしょうか?結論からいうと、会社の売却価格には相場はありません。

それは、会社の規模や特性、成長ステージ、会社を取り巻く環境、業種の人気度合い、株式市場の動向など、総合的に判断するため、一概に「相場はいくら」と金額を提示できないからです。

とはいえ、会社の売却価格の決め方には、いくつかの方法があります。

会社の売却価格の算出方法

会社の売却価格の決め方にはいくつかの種類がありますが、中小企業の場合は、時価純資産法(のれん代付き)という方法がよく使われます。

その他、類似会社比較法(マルチブル)、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)といった計算方法がありますが、複数の計算方法で多角的に計算したり、組み合わせて計算することもあります。

会社の売却価格は、M&A会社の評価方法や計算方法次第で大きな差がでることもあります。M&A会社に依頼するときは、どんな方法で売却価格を計算するのかを確認するようにしてください。

時価純資産法
会社の財産価値を時価評価して、そこから負債を差し引いた時価純資産額に営業権(=のれん代)を上乗せして計算する方法

類似会社比較法(マルチブル)
売り手会社と類似する事業を営む上場企業の評価(株価)を使用して売り手会社の売却価格を計算する方法

DCF(ディスカウントキャッシュフロー)
将来発生するキャッシュフローから、現在の価値に修正するための割引率を引いて計算する方法

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会社を売却したときのメリット・デメリット

長年経営してきた会社を売却することは、経営者にとって、とても大きな決断になると思います。会社の売却で後悔しないために、会社を売却したときのメリット・デメリットについても理解しておくことは大切です。

会社売却のメリット

会社を売却する最大のメリットは、会社の事業が継続されることです。また、事業を継続できるだけではなく、財務内容が強化され、より事業が成長する可能性があることも挙げられます。

また、会社を売却して引退を考えている経営者にとっては、売却代金が退職金の代わりにもなります。引退後の生活費や余裕資金に充てられるという金銭的メリットもあります。

会社売却のメリット
後継者不在の場合、事業承継を円滑に行うことができる
従業員の雇用維持、取引先との関係を維持することができる
売却代金を手にすることができるので、経済的なメリットが大きい
大手企業の傘下に入る場合は、資金調達や販路拡大などのチャンスが
買手企業との相乗効果で、より事業が発展する可能性がある
経営者の個人保証が解除できる

会社売却のデメリット

会社を売却することはメリットばかりではありません。当然ですがデメリットもあります。

会社を売却するためには、売却相手の買手がいなければ成立しません。最悪、買手が見つからず、会社売却が成立しない場合もあります。

会社売却のデメリット
買手が見つからず、M&Aが成立しない場合もある
売却代金、従業員の雇用条件など、希望通りに成立しない場合もある
買手との交渉や監査(デューデリジェンス)対応で労力が必要
取引先や従業員に不安を与えないため、情報が漏れないように細心の注意が必要

会社の売却を検討するときは、メリット・デメリットを踏まえた上で、慎重に判断することが大切です。

会社の売却が成立するまでの全体の流れ

一般的に会社の売却は以下のような流れで進めていきます。

STEP1:M&A会社と契約をする
STEP2:会社の「磨き上げ」を行う
STEP3:売却条件を整理する
STEP4:複数の買手会社に声をかける
STEP5:1社に絞る
STEP6:デューデリジェンスに対応する
STEP7:クロージング(M&A成立)

それぞれの項目を詳しくみていきましょう。

STEP1:M&A会社と契約をする

M&A会社には、仲介タイプとFAタイプ(フィナンシャルアドバイザリーの略で、助言ともいいます)に大別されます。

仲介タイプの特徴

仲介タイプは、売主と買主の双方と契約します。売主・買主の事情を熟知しているため、取引の妥協点を見出しマッチングするので、早期にM&Aが成立しやすいというメリットがあります。一方、利益相反の問題を抱えていることがデメリットです。

売手と買手をマッチングする
早期にM&Aが成立しやすい
売手と買手の妥協点を探るので、売手側は不利な場合もある

FAタイプの特徴

FAタイプは、売主と買主どちらか一方と契約します。売主・買主のどちらか一方としか契約をしないため、依頼者の利益が最大化しやすいメリットがあります。ただし、依頼者の利益実現のために、相手方との粘り強い交渉が必須であることから、M&A成立まで時間を要するケースがあります。

売手・買手のどちらか一方と契約をする
依頼者の利益のために、相手方と交渉を進める
M&A成立まで時間を要する場合もある

それぞれの会社に特徴があるので、特徴や仕組みを理解したうえで、着手金や成功報酬などの料金体系、サポート体制、これまでの実績など、複数のM&A会社と面談して、信頼関係を構築できる会社(あるいは担当者)と契約してください。

STEP2:会社の「磨き上げ」を行う

「磨き上げ」とは、買手企業と交渉を始める前に、自社に問題や課題がないかを調査する作業のことをいいます。

ただし中小企業のM&Aでは、この磨き上げがほとんど実施されていません。それは磨き上げに費やす時間と費用が負担になること、そして、M&A会社に磨き上げの知識と経験が少ないことが理由です。

しかし、磨き上げを行わないままM&Aを進めると、買手企業が行うデューデリジェンスで問題が見つかった場合、M&Aが破談となったり、仮にM&Aが成立したとしても、買手企業主導の売手に不利な売却条件が提示されるなど、売手側にとって多くのデメリットが発生します。

時間と費用はかかってしまいますが、会社の磨き上げを行うことで、売却先の選択肢が増えたり、希望以上の条件や金額で会社を売却することができたり、会社売却の可能性を広げることができます。

磨き上げで行う作業
会社の情報を整理する作業「基礎修正」
より高く売れる会社にするための作業「財務や実務」

*磨き上げはすべてのM&A会社で行うわけではありません。契約をする前に磨き上げの有無を確認するようにしてください。

STEP3:売却条件を整理する

株式の売却なのか、事業の譲渡なのか、会社を分割して売却するのか、M&A会社と一緒に取引の手法を検討します。そして、会社(または事業)の価値評価、売却の主要条件をまとめます。

※会社(または事業)の価値を評価は、相続税法上の評価ではなく、時価純資産法や類似会社比較法、DCFなどの評価方法を用いて算出します。

売却条件の整理
M&A会社による価値評価を参考にして売却金額を決定する
売却金額の支払い方法
従業員の待遇
取引先や仕入先との関係
拠点や資産の統廃合について
金融機関との取引変更(個人保証など)
情報の開示範囲

売却条件を整理したら、売手企業の名称を伏せた形で、売手企業の概要を簡単に示す「釣書」をM&A会社が作成します。これは、「ノンネームタームシート」「ティーザー」とも呼ばれます。

STEP4:複数の買い手会社に声をかける

売却条件を整理してノンネームタームシートを作成したら、20社から30社に配布をして買手企業の興味を探ります。

ノンネームタームシートに興味を持つ買手企業が見つかったら、秘密保持契約を締結したうえで、企業概要書(インフォメーション・メモランダム、IM)を買手企業に開示し、質疑を書面で対応します。

書面のやり取りを進めるなかで、興味を持った買手企業には、買収の目的や買収後の経営体制、戦略などを記載した意向表明書(LOI)を提出してもらいます。

STEP5:1社に絞る

LOIを比較して交渉相手を1社に絞ります。ここで基本合意を締結しますが、中小企業の場合は実質的に独占交渉になります。

この段階になると、後戻りすることは容易ではないので、本当に最終合意を行う気持ちで臨む覚悟が必要です。

基本合意の主な内容
取引の当事者
取引ストラクチャー
対価と支払方法
取引時期
社員の処遇など諸条件
独占交渉の有無等
デューデリジェンスについて

1社に絞るとき、LOIの内容に加えて、買手企業について以下の項目などもチェックして検討する必要があります。

財務や経営戦略等のほか、買手企業の企業風土なども検討したうえで、基本合意先を決めましょう。

買手企業に対するチェック項目
買手企業の財務評価(支払い能力の有無)
買手の株主や経営陣が適正かどうか
LOIに記載された買収後の事業戦略の実現可能性
買手企業における過去のM&A案件のその後の状態
各種コンプライアンスへの取組み状況
買手企業における事業撤退、リストラ等の有無
福利厚生の状況、クラブ活動の有無、社会貢献活動やSDGsへの取組み状況

1社に絞ったら、LOIを提出した他の買手企業候補には、他社と基本合意した旨を伝えます。また、基本合意後は、合意先以外の候補先との間でM&Aに関する接触は厳禁となります。

STEP6:デューデリジェンスに対応する

デューデリジェンス(略してDDといわれます)は、買手企業が売手企業に対して行う詳細調査になります。

デューデリジェンスの目的は、最終的な取引ストラクチャー、買収価格を中心とした条件、買収後の経営統合体制を買手企業が決定するために行います。

これまでのプロセスでは、IMに基づく質疑応答やトップ面談の情報に基づいて買手企業は判断してきましたが、デューデリジェンスは以下の調査項目や資産や設備を現地・現物にて確認をします。

デューデリジェンスの主な調査項目
企業の基本的情報
財務・税務に関すること
事業に関すること
法務に関すること
人事・労務に関すること
その他(環境DD、資産設備DD、システムDDなど)

デューデリジェンスは、実地調査も含めて1~3カ月の期間、公認会計士、税理士、弁護士などの専門家を交えて行います。

基本的にデューデリジェンスの調査項目は、STEP2で行う「磨き上げ」の調査項目とほとんど変わりません。しっかりと磨き上げを行っておけば、スムーズにデューデリジェンスを進めることができます。

STEP7:クロージング(M&A成立)

買手企業のデューデリジェンスが終了すると、いよいよ最終契約書締結に向けて以下の項目を中心とした交渉をします。

最終契約書締結時の確認項目
最終的な譲渡価格
表面保証の内容
役員と従業員の引継ぎ
競業避止義務
クロージングまでの日程・善菅注意義務
譲渡代金の支払い・株式の引渡し

そして、最終契約書でとくに重要なのが表面保証になります。

表面保証とは、開示した内容に間違いがないことを「表明」し、買手企業に「保証」することをいいます。M&A成立後に思わぬ事実が発覚するなど、表面保証した内容が事実と相違していた場合、買手企業が損害賠償請求ができます。

磨き上げのプロセスで細かいところまで確認し、不備があれば修正するのは、自分たちの会社の価値を高めるだけではなく、最終契約書での表面保証の対策にもなるからです。

さまざまな確認が終わり、株式譲渡(または事業譲渡)をしたら一連のM&A取引が終了となります。

会社を高値で売却するためのポイントと売却時の注意点

経営者なら、会社を売却するなら高値で売りたいと考えるのが自然かと思います。最後に、会社を高値で売却するためのポイントや売却時の注意点を紹介します。

上場企業の株価が高い時に売却する

会社を高値で売却するための鉄則が一つだけあります。それは自社が属する業界や類似する事業の上場会社の株価が高いときです。

株価は業績の先行指標といわれるように、類似する上場会社の収益がさらに上がることを市場は期待しています。そのため、自社と同様の将来性を見出すケースがよく見られます。

そのため、類似する上場会社の市場評価が比較的高い時期が良い結果を生む可能性が高くなります。反対に類似する上場会社の市場評価が低い時期は、会社を売却するタイミングではないかもしれません。こういった市場環境も会社を売るタイミングの目安になります。

買手企業にニーズのある経営資源を確保

例えば、優良企業の取引先、顧客リスト、優秀な人材などを確保するためには、膨大な時間やコスト、労力がかかります。こうした経営資源を確保する目的で買収を行うケースも多々あります。

買手企業から評価される経営資源
優良企業との取引き
質の高い顧客リスト
高い専門知識を持つ従業員
市場シェア
特許・技術・情報などの知的財産

買手企業からニーズのある経営資源を持っていれば、より多くの買手企業候補が見つかりますし、会社を高く評価されます。

ヒト(従業員)が会社の価値を高める

従業員のスキル、業務知識、過去に携わってきた業務経歴、特殊な技術など、働いている従業員が高く評価されるケースも多くあります。この場合、従業員の平均年齢が高くてもマイナスの材料にはなりません。

逆に、いくら高い技術があっても、従業員の定着率が悪く、数年で入れ替わるような会社、一般水準より高い給与を払うことでつなぎ止めている会社は、ヒト(従業員)という切り口で価値を見出すのは難しく、それどころかマイナス評価になる場合もあります。

豊富な業務知識や高い専門性を持つ従業員のいる会社は強く、そして会社を高く評価されます。

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会社売却が決まっていない場合でも問題ありません。また、正式に契約をするまで費用は一切頂きませんのでお気軽にご相談ください。業界のトレンドなども踏まえて具体的なイメージをお伝えします。

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