会社売却側に有利なアーンアウト条項

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以前、このブログでもコインチェック(CC)問題について触れましたが、流出した約500億円の返金は不可能だとわたしは思っていましたが、しっかり返金されたようでわたしも驚愕しました。

さて、そんなコインチェック(CC)ですが、先日、ネット証券大手のマネックスグループが36億円で買収することが話題となりました。

今回の買収は、ネットでは「安い」という意見が多く見受けられましたが、マネックスグループの株価が高騰しているところを見ますと、マネックスグループのコインチェック買収は安い買い物であったと市場は今回の買収に好感をもったのでしょうね。

(4/5(買収発表前)終値400円→4/16(CC株式取得日)終値590円)

経営者の皆さまは、この買収についてどう思われましたでしょうか。わたしもマネックスグループのIRニュースを一読しましたが、気になる点が2つほどありました。

買収金額36億円は本当に安いのか?

当社としては、コインチェックの2018年3月期末の純資産額(見込み)は、同社が2018年3月12日に実施した不正に送金された仮想通貨NEMの保有者に対する補償後においても、2017年3月期末の純資産額を上回らないと認識しています。

2017年3月期におけるコインチェックの純資産は5.4億円です。仮想通貨流出に対する顧客への補償額は466億円です。ということは、前期(2018年3月期)のコインチェックの最終利益は、471.4億円(5.4億円+466億円)以上あったという計算になります。

また、一部報道においては、コインチェックの前期(2018年3月期)の営業利益は1,000億円あったという報道も。

コインチェック、460億円補償完了 危うさ抱える高収益日本経済新聞WEBより

たしかに、この収益水準だけを見ると、36億円での買収は「安い」という印象です。しかし、コインチェック問題が起きたことによる大幅な顧客離れ、仮想通貨事業への他社の参入、ここ最近の仮想通貨下落によるブームの収まり等が想定されますので、今後、前期のような収益水準を保つ、あるいは、超えることは難しいのではないかと思います。

加えて、セキュリティ対策費用、内部統制の整備費用など多大なコストがかかることが想定されるので、単純に「高い」「安い」は判断できないのではないか、というのがわたしの印象です。

売却側に有利なアーンアウト条項

上記(買収価格36億円)に加えて、コインチェックの現所有者との間で条件付対価に関する合意がなされています。今後3事業年度の当期純利益の合計額の二分の一を上限とし、一定の事業上のリスクを控除して算出される金額が追加で発生する可能性があります。

田中

出ました!アーンアウト(earn-out)※です。

※最終契約書で、売手企業との間にいくつかの条件を設定し、それが一定期間内に満たされた場合にのみ、追加の買収対価を支払う旨を約束した取引。

例えば、コインチェックの今後の当期純利益の金額が、1年目10億円、2年目15億円、3年目20億円だとします。

ここでいう「一定の事業上のリスク」とは、主に訴訟費用を指すと思われます。仮に、訴訟費用を「最大」20億円だとすると、

(10億円+15億円+20億円)×1/2=22.5億円
22.5億円-20億円ー2.5億円

上記の例の場合、マネックスより追加で2.5億円がコインチェック旧株主に支払われる、ということになります。このような条件をアーンアウトといいます。

アーンアウトとは?

アーンアウトは、本来企業価値の大半が将来の成長により見込まれる利益に依存しているようなベンチャー企業の買収に織り込まれることが多いです。

さて、このアーンアウトですが、実は弊社も時折、譲渡条件の一つとして買手企業と交渉をします。例えば以下のような条件です。

「買手企業のグループとなった後、売却した会社の滞留債権を回収したら、回収の●分の1をインセンティブとして旧株主に付与」

「買手企業のグループとなった後、売却した会社が事業計画を上回った場合、営業利益の●分の1をインセンティブとして旧株主に付与」

アーンアウトのメリットとしては、「売主が頑張った分だけご褒美がある」というところです。もちろん、しっかりと納得する譲渡価格を交渉した上で、さらに追加する形でアーンアウトをつけています。

M&A田中

弊社では単純に譲渡価格1本ではなく、アーンアウトを付けた条件で買手企業と交渉もしたりしています。

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会社売却が決まっていない場合でも問題ありません。また、正式に契約をするまで費用は一切頂きませんのでお気軽にご相談ください。業界のトレンドなども踏まえて具体的なイメージをお伝えします。

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田中類

茨城県出身。学生時代は落研に所属し、まわりは芸人の道を歩む中、証券会社へ入社。リテール営業後、M&Aアドバイザー会社アドバンストアイ株式会社に転職。...

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