大手企業と中小企業の適合性の判断方法は違う

この記事は約 315 秒で読めます。

先週末、大変お世話になっている方が主催されている会合で、M&Aについてお話しする機会を頂戴致しました。

参加されている方々は、大学や企業研修の先生の方々、大手企業の人事関係の皆様、出版関係の皆様など、多士済々で、質疑応答も活発で、私も大変勉強になりました。

大手企業と中小企業の適合性の判断方法は違う

皆様の興味の多くは、M&Aにおいて、企業風土や文化の適合性はどうやって見極めているのか、にあったようです。

見極める方法としては組織文化のマッチングを調査分析するツールを使ったり、従業員の意識調査を行ったりすることもあります。これは大手企業向けのものが多く、中小企業の場合には必ずしも最適というわけではありません。

私の経験では、担当者として売買の双方に可能な限り、足を運びそこにある雰囲気を感じ取ること、そして、出来る限り役職員にインタビューを重ねること、これに尽きると思います。それは、背景には、M&A成立前に、徹底的に議論を尽くし、交渉する姿勢を持つことが重要だと考えているからです。

企業風土や文化とは、一言で言えない多様な要素から構成され、凝縮された感覚で形作られるものと思います。

例えば、社名、拠点、部署、製品名の変更についての是非や理由等について、議論してゆく中で、その成り立ちや意義を理解し納得できるもの、相容れない概念等が感じ取れ、感覚を形成してゆくものです。単に、人の雰囲気のみで決まるものではありません。

私たちは、お客様の事業について、完璧に理解できるような能力や経営経験も有しているわけではありませんが、M&Aという局面においては、一所懸命に努力し最善の助言を尽くします。

その対価として、決して安くない報酬を頂くことになるわけですが、最後の最後までこの条件がベストだろうか、あらゆる情報を収集分析して相手と交渉します。私たちも命がけです。

これは誠実ということであろうと思いますが、この際に、バトンを引き継ごうとしている事業の安定的継承と、直接的な依頼主となる株主の獲得利益が、相反することがあります。

例えば、株主の要件として、株主の親族が役員残留を希望することがありますが、お飾りであって現実には業務を担当せず、現場の役職員からは残留を反対され、かつ、買主からも退任を希望されることがあります。

このような場合、依頼主の利益を守ることと、事業価値の中長期的最大化は、単純な物差しで測れないことに遭遇します。先の例では、退任しても経済的価値が等価であるような場合には説得もしやすいのですが、社会的地位に拘る場合には複雑です。

このような時、私たちは、事業継続に資する選択肢を選び、依頼主に摩擦を恐れずに説得を試みることがあります。

これは日本企業独特かもしれませんが、やはり事業がうまくいかなくなった場合の後悔は何より大きいものです。私たちは、中小企業の事業の中長期的発展に資するアドバイスが原点にあり、それが迷ったときの回帰点になると考えています。

「会社を高く売る方法」eBook無料ダウンロード

  • M&A会社の選び方、会社を高く売る方法、会社売却の成功事例とポイントなど、会社売却のプロセスに入る前に経営者が知っておきたいことをまとめました。お気軽にダウンロードください。
 
Verification

岡本行生

アドバンストアイ株式会社 代表取締役 前野村證券株式会社勤務、東京大学理学部情報科学科卒、ペンシルバニア大学ウォートン校MBA(アントレプレナリアル・マネジ...

プロフィール

関連記事一覧