役員退職金の有効活用について ~節税対策~

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M&A松岡

会社の売却金と役員退職金を利用して手取り額を多くする方法は、中小企業のM&Aにおいてよく使われる手法です。今回は役員退職金について解説したいと思います。

会社を売却するとき、「手取り額を増やしたい」と考えることはごく自然なことです。このようなとき、役員退職金を上手に利用すると、受け取る金額を増やすことができます。

この方法は、中小企業のM&Aでよく使われる手法です。

役員退職金とは?

役員の退職金は、大きくわけて“役員死亡退職金”と“役員退職慰労金”の2つにわけられます。

役員死亡退職金 役員死亡退職金は、経営者が死亡したときに遺族の生活の保障や相続対策のために支払われる退職金です。被相続人の相続財産として相続税の対象となります。
役員退職慰労金 一方、役員退職慰労金は、経営者のこれまでの功績に対して支払われる退職金です。退職金を受け取る経営者の所得とみなされるので所得税の対象となります。

経営者が存命のうちに会社を売却する場合は、会社から役員退職慰労金を受け取ることができます。

役員退職慰労金を活用することのメリット

役員退職慰労金を活用することは、経営者側、会社側のどちらにもメリットがあります。

まず、経営者側のメリットとしては、役員退職慰労金は、役員報酬や役員賞与などの給与所得と比較すると、税制面が有利なので納税額を抑えることができます。

1)退職所得控除を適用することができる
2)分離課税が採用されている
3)「2分の1課税」によって課税所得を大幅に減額できる

所得税を算出するとき、役員退職慰労金は上記3点の退職所得の優遇を受けることができます。

実際に、株式の譲渡代金のみの場合と、役員退職慰労金を活用した場合とでは、受け取れる金額にどれくらいの差がでるのでしょうか。

以下の条件を仮定して計算をしてみましょう。

株式取得価格 1千万円
勤続年数 35年
株式譲渡代金のみ 株式譲渡代金:2億円
役員退職慰労金利用 株式譲渡代金:1.5億円 役員退職慰労金:5千万円
株式譲渡代金のみ
2億円
株式譲渡代金+役員退職慰労金
1.5億円+5千万円
税額 38.598,500円 33,754,391円
税率負担 19.3% 16.9%
受け取れる手取額 161,401,500円 166,245,609円

*上記は簡略化したシミュレーションで計算しています。記載内容の正確性については責任を負いかねます。

どちらの場合も税引前の金額は2億円ですが、役員退職慰労金を組み合わせることで、最終的には受け取れる金額に480万円ほどの差がでてきます。

会社側からみると、役員退職金は一定の額までは損金に算入することができます。役員に支払う退職金を準備すると同時に、利益を減らして法人税を圧縮することができます。

役員退職金を活用するときの注意点

注意したいポイントは、役員退職金を積み立てる際に、損金算入に関するルールが設けられているということです。

役員退職金を不当に高く設定していると判断された場合、損金不算入となってしまいます。

その場合、役員退職金はすべて損金に算入できると考え、計算していた法人税よりも高額な法人税が課せられてしまいます。また、退職金を受け取る経営者にも、法人税と所得税の2重課税が発生してしまうため注意が必要です。

損金に算入できる適正額についてのルールを理解して、うまく活用することが肝です。また、常に最新の税制や制度について確認をしておき、退職金規定を事前に作成しておくなど、早めに準備をすることも大切です。

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松岡航大

岡山県出身。学生時代は16年間野球に打ち込む。前職では大手証券会社にて主に事業法人、富裕層向けの資産運用コンサルティング業務に従事。その後、アドバンストアイ...

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